コイ(ヤマトゴイ)

コイ(ヤマトゴイ)

鯉は鯉でも、金魚の産地である奈良県大和郡山市の地名から由来する飼育系統の鯉を、特にヤマトゴイと呼びます。「ヤマト」の名が付きますが、実はユーラシア大陸由来の国外外来種で、ブラックバスやブルーギルと同じように、生態系を著しく撹乱するため、注意を要する魚です。

家庭で飼育されている錦鯉のみならず、益城町にいる野生の鯉も、すべてこの外来のヤマトゴイと思われます。かつては日本在来の鯉(いわゆる「ノゴイ」)もいたのかもしれませんが、現在確実に確認できる場所は、琵琶湖の深場のみです。ただし、筑後川や四万十川など水深のある大型河川にはまだ残っているかもしれません。また、ヤマトゴイとノゴイの雑種も、霞ヶ浦などで見つかっています。

コイ(ヤマトゴイ)
ヤマトゴイ(益城町の小河川、2020年3月)

ヤマトゴイとノゴイの区別は、必ずしも明確ではありませんが、ヤマトゴイはノゴイに比べて体高が高く扁平になります。一方、ノゴイは体高が低くマルタのように寸胴で細長いです。ただし、ノゴイのように丸太状のヤマトゴイもよく見かけます。

ヤマトゴイの幼魚
ヤマトゴイの幼魚(益城町、2019年12月)。ギンブナの幼魚と判別が難しいですが、口にヒゲがあること、鱗がやや細かいことから区別されます。